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(株)大井製作所ニュース 2009年 7月号 Vol.10

国産材に寄せられる期待と不安

5年以内に住宅計画ありが7%UP

政府は国費15兆4000億円にものぼる経済危機対策をまとめました。国土交通省も住宅需要喚起のため、住宅ローン減税の拡充、長期優良住宅特別控除、リフォーム工事への減税、贈与税軽減措置などを打ち出しました。このような景気刺激策に加えて、不動産や諸物価の下落を受けて、住宅への関心が上昇しているようです。


東急住生活研究所が本年4月に首都圏の25歳以上の男女に調査した結果(「住生活1000人調査2009」)では、「5年以内に住宅計画を持つ割合」は昨年に比べ7%UPの24%にまで上昇していたとのことです。さらに計画保有者の「買時感」は前年を30%上回り7割を超えており、特に30代の伸びが顕著だったという結果でした。

 

また、マイボイスコムが本年6月に行った調査(「住宅の購入やリフォームに関する調査」)では、7割が一戸建てを希望し、「買えるならマンションよりも一戸建て、できれば新築、注文住宅」が最多であったと報告しています。しかし、実際の購入に当ってはやはり資金や生活利便性などが問題になり、マンションや分譲住宅を選択する人が出てくるのが現実のようです。

 

価格に関して”やはり”とうなずける調査があります。東海3県の住宅見学会情報ポータルサイト「じゅうたま」が「タマホームの商談ステップにみる特徴」を紹介しています。「価格」「CM」をキッカケにして商談に進み、契約した理由(複数回答)は「価格」(97%)、「営業」(60%)、「構造」(52%)とのことでした。


これらのデータは、住宅を購入できる目処がたっている人にとっては、「買うなら今、価格はもちろん、構造も無視できない」ということを現しているのではないでしょうか。 

長期優良住宅(200年住宅)と国産材

長期優良住宅の普及の促進に関する法律が去る6月4日から施行されました。住宅の平均寿命が約30年と言われる日本で、住宅が短期間で建て替えられる状況から、社会の資産として、数世代が住み継ぎあるいは中古住宅として価値を持って転売され世帯主が代わって利用され続けられるストック型社会へ誘導することを企図した法律といえます。そのために、耐震性などの基準を満たす新築住宅を長期優良住宅として認定し、その後も居住者が維持管理しながら住み継ぐことで、質の高い住宅を増やしていくことが推進されていきます。建築費は割高ですが、建て替えによる家計の負担が減るなど、長い目でみると利点が多いと言われています。

 

長期優良住宅として認定される基準には、劣化対策や耐震性など9項目があります。一戸建てやマンションの建築に際し、居住者などが自治体に申請して認定されれば、定期的な点検や補修をしながら住み続け、補修記録などの住宅履歴書も引き継いでいくことになります。建築費は、基準に満たない一般的な住宅より1〜2割高くなると言われます。もっとも、住宅会社などで組織する住宅生産団体連合会は、「大手住宅会社の一戸建ての多くが、すでにほぼ基準を満たしており、建築費は大きく変わらない」と発表しています。

 

この長期優良住宅促進法で特筆すべきなのは、「国産材」の文言が法律の中に明記されたことです。第四条第3項に「国土交通大臣は、基本方針を定めるに当っては、国産材(国内で生産された木材をいう。以下同じ。)の適切な利用が確保されることにより我が国における森林の適正な整備及び保全が図られ、地球温暖化の防止及び循環型社会の形成に資することにかんがみ、国産材その他の木材を使用した長期優良住宅の普及が図られるよう配慮するものとする。」と記されています。これは、木造住宅に限らず、マンションであれ、鉄骨造であれ、構造材ではなくても内層材や造作材などにでも国産材を使うことが推奨されたと言えます。

また、構造材の小径は、腐朽や蟻害の点から、耐久性区分D1に該当する樹種(構造用製材ではスギ、ヒノキ、ヒバ、カラマツ、ベイヒ、ベイスギ、ベイマツ、ダフリカカラマツ)であれば4寸以上(それ以外は4.5寸以上)でよいことになっています。しかし、耐震性と可変性を考慮して、将来の間取り変更を想定して大きな室内空間を確保しようとすれば、あるいはD1区分以外の樹種で4.5寸や5寸仕様の構造材が使われるのであれば、スギ、ヒノキでもこのような太いサイズが採用されることが増えていくのかもしれません。

住宅会社が国産材に求めるのは、品質と在庫機能

大手住宅会社や有力ビルダーなどで、国産材を採用する動きが増えてきました。日刊木材新聞の記事をもとにまとめてみました。

 

木造住宅で受注棟数トップとなったタマホームは、今年度中にも主力商品の主要構造材の全てを国産材に切り替えると発表。環境への配慮と新たなブランド化を訴えることを狙う。さらに自治体の助成制度も使えるよう産地証明を付与することも検討するとのこと。新規採用する国産材の樹種や規格の詳細は明らかにされていませんが、既に住宅の基本性能を長期優良住宅仕様に刷新したことから、耐久性を考慮した選択(4寸仕様)になると見られます。

 

ミサワホームも、木質プレハブだけではなく木造軸組事業への本格参入を実施する。坪40万円台を狙って商品開発を行い、構造は集成材+金物工法を採用する。長期優良住宅では、造作材などに国産材を使うと発表。狂わない工業住宅を売りにしてきた同社の営業マンにとって、割れる、反る、狂うことを前提に、無垢の国産材を施主にうまく説明できるかが心配だと語る。

 

住友林業は同社が展開するイノスグループでも、九州地区限定で、杉双子柱と、梁材でも杉・桧のハイブリッド集成材を採用すると発表。なお、杉桧の異樹種集成材では、最外層のみではなく外層2層を桧ラミナとしないとE105(F300)の強度が出なかったとのことです。
 木造で大空間、大開口を実現するSE構法を供給するエヌ・シー・エヌも、桧やカラ松といった強度のある国産集成材を長期優良住宅先導モデルで採用。また、住宅フランチャイズのエースホームは、長野エリアで県産カラ松の構造用集成材を主要構造材向けに供給できる体制を整えた。さらに、2×4住宅の三菱地所ホームは”純国産材2×4住宅”の実現を視野に、まずは合板、土台、根太を桧やカラ松に切替をはじめるとのこと。またスタッドはSPFから杉への切替を検討していると言う。

 

以上、住宅会社6社の動きを紹介してきましたが、無垢構造材はタマホームのみで、他はほとんどが集成材しかも杉の言葉があまり出てこないことが気になります。とはいうものの、国産品に対する消費者の志向が高まっていること、国産材には森林や製材所の顔が見えお客様が安心できる、国産材を利用し森林環境の改善に役立っている家作りというイメージも大きな武器になる、ことなどが国産材の使用を後押ししていると思われます。 

しかし一方で、ナイスと木と住まいの総合研究所が石破大臣に当てた提言書では、国産材利用を望む声が強いと言うが、「安定した品質、量の確保が困難」「製品として輸入品との違いが見えず、国産材であることの利点が感じにくい上、その使用方法、購入方法などが分りにくい」と、品質、数量、納期のネックが強調されているそうです。さらに、県産材助成の諸制度も「県という境界があるために、かえって安定した量、品質、性能の確保が困難」と指摘し、最終消費者の立場での施策、品質確保、情報提供とその知識を有する人材の育成が必要であるとしているそうです。
 

国産材にとっては、またとないチャンスがやってきています。この需要を掴むために、国産材流通は、早急に品質を担保でき、在庫、納材機能を高めていく必要があります。

構造材の割れに関する住宅トラブルを振り返って

昨年7月31日に東京高裁が下した判決を記憶されている方も多いのではないでしょうか。木造住宅の引渡し後に発生した構造材の割れについて、請負工事を行った住宅会社が「補修の原因は木材にある」と、構造材を納入した木材業者に対して補修費用の負担を求めて訴えた裁判。争点は、?グリン材は在来木造の構造材として適切か ?木材業者は割れる可能性があることを住宅業者に説明する責任があったか の2点。

判決はグリン材の割れは瑕疵ではない。木材業者が説明無くそれを納材することに債務不履行は認められないと、請求は却下された。

 

ことの発端は施主のクレーム。「入居後に木材が割れる音が絶えず、不安を感じた」「点検したところ木材が乾燥収縮して割れており、建物にゆがみやよじれが生じていた」「1階の天井板がずれて下地ボードの粉が落ちてきた」といったクレームを受け、住宅会社は木材の全面的な取替えや補修工事を行った。住宅会社は補修の原因は木材の割れにあると考え、補修費用1560万円の全額負担を求めて木材業者を訴えた。

 

木材業者側は、木材の割れのメカニズムや貫通割れで無ければ強度に影響しないことを裏付ける専門家の意見書を提出して反論した。当該建物の割れと構造上の問題についての立証がなされず、グリン材は一般的な建材で構造材として不適切ではないと裁判所は判断した。

 

確かにこの裁判では、「グリン材は構造材として不適切でない」ことは認められましたが、この住宅の施主は、木材が割れる音、建物のゆがみ、下地ボードの粉によって非常に大きな苦痛を受けたのではないかと想像されます。グリン材を使いこなせる大工や工務店が減っていることもこの事件の背景にあるのかもしれません。この裁判結果を知った住宅供給会社の中には、安易にはグリン材を構造材として用いない方がいいと感じたところも多いのではないでしょうか。

教えて!割れや高温乾燥材は、構造材として大丈夫?

「材面割れや背割りは強度に影響しないのか」、「高温乾燥は脆くなるんじゃないのか」などの質問を、乾燥機の商談の際やユーザー様から受けることがありました。弊社では、これまで見聞した情報を元に、「実用上は問題ないですよ」と応えてきました。最近、これらの質問に対する現時点での専門家の考え(日本木材加工技術協会発行、木材工業誌2009年7月号に「針葉樹構造用製材の乾燥と強度性能との関連性−乾燥割れと高温処理の影響を中心に−」という論文)が発表されましたので、Q&A方式にまとめ紹介いたします。

 

解説:材面割れであれ内部割れであれ、背割りやスリットが入っていても、材料としては断面の一部が掛けている断面欠損の状態であり、1本1本を同じ含水率状態で割れる前と割れた後で比較したならば、強度(曲げ、圧縮、引張り、座屈、ヤング率)は低下する。背割り加工では5〜10%低下するとの報告がある(乾燥による割れ量は通常背割り量より小さく、乾燥割れはこれ以下の低下率となる)。しかし、木材の強度は、何十本、何百本と測定して分布を取り、下から5%(100本測ったなら下から5本目)の強度値をもって、この値が樹種ごとに定められている基準強度を上回っていれば、実用上は問題がないとされる。これまでの研究では、割れや背割りで基準強度を下回る結果はなく、JASでも「貫通割れ」以外の割れや背割りは強度の低下要因に当らないという立場に立っている。また、割れが出やすい材ほどヤング率が高いとの報告もある。

 

解説:山形プレートによる仕口の引張り試験や、ボルトによる仕口の2面せん断試験では、割れによる影響は見られないとの報告があり、一般的には耐力低下は発生しにくいと考えられる。しかし、割れがボルト孔とつながると割裂に至る可能性があるため、プレカットや現場では、可能な限り割れをボルト孔から避けることが求められる。ただし、大きな内部割れが起きている場合には、外見上発見が難しいことが問題になりえる。

 

 

解説:高温乾燥の処理温度が120〜130℃を超えた場合、強度性能への影響が現れる可能性が高く、その時間が長いほど影響がでやすい。スギは比較的影響が出にくい樹種であるが、ベイマツ、カラマツ、トドマツ、ベイツガでは注意を要する。カラマツでは高温セット120℃以下12時間程度が望ましい。スギでは、蒸煮6時間程度、高温セット12〜18時間以下の場合では曲げ、圧縮、接合性能への影響がなかったとの報告がある。

 

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