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乾燥・割れ対策

蒸気式乾燥の工程

1.昇温

乾燥される材と室内の温度を所定の温度まで上昇させる工程です。ヒーターと蒸気噴射(スプレー)により温度を上げますが、表面割れが出やすい材料ではスプレーを主体に使用し、湿度が100%に近い状態で木材の乾燥を進めないように昇温させます。蒸気式乾燥機はこのスプレーによる昇温能力が高いことが特徴といえます。

2.蒸煮

所定の温度に室温が到達した後、乾燥される材の中心部の温度が室温と同じになるまで、スプレーを主体に使用して、蒸すような状態に保つ工程です。この際、

(1) 生材の内部に溜め込まれていた成長応力が緩和され木材がリラックスする、

(2) 内部の含水率が高い材料では表層部へ水分が押し出され含水率が均一化する、

(3) ヤニの多い材料では表層部のヤニ抜き(ヤニの固定化)などの効果も合わせて期待できる

    といわれています。この蒸煮を行えることが、蒸気式乾燥機の需要の特徴の一つです。

3.乾燥

乾球温度(室内空気の温度)と湿球温度(空気が乾いているほど、乾球温度との差が大きくなる温度)を、ヒーター、スプレー、吸排気ダンパーなどで制御し、所定の環境を作りながら、木材中の水分を蒸発させていく工程です。

 

乾燥の初期は高湿状態とし、徐々に乾球温度を上昇させながら低湿状態にしていくのが一般的です。この条件設定しだいでは、材料に割れなどの損傷が発生しやすくなります。商品価値を下げることなく、より速く、より安く乾燥させるために、この設定(乾燥スケジュールの設定)が非常に重要になります。

 

また、送風機の風は、乾燥の初期には乾燥速度を増加する役割があり、それ以後では、乾燥室内の温度ムラを起こさないような働きをします。

4.調湿

乾燥の最後に行う工程で、イコライジングとコンディショニングと呼ばれる2つの工程があります。どちらも、乾燥の最後でもう一度高湿状態にする点で共通していますが、イコライジングは乾燥室内で仕上がり程度にバラツキのできた材料間の含水率を均一化する目的があり、コンディショニングは、乾燥過程で材料の中に生じた応力を緩和し、乾燥後のトラブルを減らす目的で行います。断面の大きな角材では省略されることが一般的になってきました。

表面割れを抑制する

1.表面割れのメカニズム

木材が割れたという現象は、割れが生じた部分の横方向(通常は板目方向)の引張強度(引っ張りに耐える力)より大きな力が働き、その部分が耐え切れなくなって破壊したと考えることができます。

 

では、乾燥中に割れを生じさせる大きな力は、なぜ生じるのでしょうか。

乾燥途中の木材は、表層から乾燥していくために、表層と内部の含水率に違い(含水率傾斜)ができます。

そして先に含水率30%をきった表層は収縮しようとしますが、内部はまだ含水率が高く元の体積を保とうとしています。

この時、縮もうとしている表層には、内部が突っ張っているので、引っ張りの力(引張応力)が働くようになります。

さらに乾燥が進むと表層の含水率はさらに低下し、収縮量も大きくなっていくために、表層に働く引張力も大きくなっていくのです。

 

乾燥の進行に伴って表層で増大するこの引張力が、ある部分の横引張強度を超えた時に表面割れが生じるのです。

また、横引張強度は、樹種や個体ごとにばらつきがありますので、同じ乾燥状態でも割れる木材と割れない木材がでてきます。

2.表面割れを防ぐには

表面割れを防ぐには、乾燥途中に表層に働く引張力が大きくならないようにする、あるいは表層の収縮量が大きくならないようにすればいいことになります。このようにするためには、どんな方法が考えられるでしょうか。

 

(1) 表層だけが先に乾き過ぎないように、とにかくジワジワゆっくり乾かす。

【従来の中温乾燥の考え方。乾燥時間がかかり過ぎるのと割れを防ぐことは実際には難しい。】

 (2) 内部も効率よく乾かすようにし、木材断面全体ができるだけ同時に収縮するようにする。

【高周波複合乾燥のような内部加熱により、内部の乾燥速度を促進させる。】

 (3) 表面が伸びるようにして、引張力を緩和するとともに収縮量を少なくする

【高温低湿乾燥法の考え方。】

高温低湿乾燥(高温セット)法

1.木材の軟化とドライイングセット

木材の主要成分は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンです。木材の細胞壁を鉄筋コンクリート壁に例えるとすると、セルロースは鉄骨、ヘミセルロースは針金、リグニンはコンクリートと捉えることができます。さて、常温の木材は、極端に言えば硬くて脆いガラス状ですが、木材を高い温度にしていくとゴム状に変化していきます。この現象を木材の軟化といいます。それは、濡れた木材であれば針金にあたるヘミセルロースが60℃前後から、コンクリートに対応するリグニンが80℃前後から軟化しだすからです。つまり、濡れた木材の温度を高くするほど、木材は僅かずつ伸びやすくなります。まず、このことが高温低湿乾燥法の第1のポイントになります。

 

次に、力を加えながら木材を乾燥させていくと、ドライイングセットと呼ばれる現象が起ります。これは、木材が何の力も受けずに自由に収縮する量と比べ、引っ張りながら乾燥させた時には収縮量が減少し、圧縮しながら乾燥させた時には収縮量が増大した状態に固定化されることを意味しています。

さて、乾燥される材は外から力を加えていなくても、厚みがあるために表層と内部とで含水率に差ができ、乾燥前半には表層に引張応力が働いた状態で乾燥していくことになります。

つまり、表層は引張のドライイングセットを受けた状態になり、収縮量が減少します。さらに、表面のみを急激に乾燥させることによって、より大きなドライイングセットをかけることができます。これが高温低湿乾燥法の第2のポイントとなります。

 

2.高温低湿乾燥法

高温低湿乾燥法は、リグニンやヘミセルロースが軟化する温度以上で木材をややゴム状にしながら、低湿度で一気に表層部を乾かすことで、表層部に大きなドライイングセットをかける方法なのです。

一気に乾かすことで、表層には大きな引張力が働こうとしますが、軟化しているために何とか割れずに伸びて耐えているといったイメージです。

 

中には、引張力に耐えられず割れる場合もありますが、この場合でも表層には既にドライイングセットが作られています。この表面割れは、乾燥の後半になり内部が乾きだすと逆に内部に引張力が、表層に圧縮力が働くようになり、閉じていきます。

 

この乾燥は、いずれにせよ急激な乾燥法ですので、木材を痛めない程度の高い温度と湿球温度、処理時間の選択が重要になります。

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